建設業界を知らない人には現状を
建設業界を知っている方には、あるあるネタとして
独断と偏見かつ完全主観のトンネル現場の10Kを紹介したいと思います。
入社2年目の頃の野帳を見返していたら、写真のような記述を見つけたので記事にしてみようと思いました。
トンネル10K
1K目は「汚い」
建設業全般に言われることですね。
土・コンクリートを扱う系の仕事は汚くなりがちです。土工事、掘削、コンクリート打設は特に
掘削中のトンネル内の通路は土砂で、掘削するとある程度の水は切羽から流れてきますからぬかるんでいます。横を工事車両が通過して泥を撥ねられるのは日常茶飯事です。
トンネルのコンクリートを打設する時の型枠として、「セントル」というものを使うのですが
狭い上に、コンクリートが完全に付着しないよう剥離剤という油を塗っているので
作業着は油まみれになります。
2K目は「くさい」
掘削中のトンネルの中って空気がこもるんですね。
もちろん送風機を常時まわして換気をして酸素濃度だけは確保しています。が、
重機も常時動いてますから排気ガス、油の匂いなど完全に新鮮な空気ではないですね。
切羽(掘削の最先端部)などは重機の排気ガスの勢いの方が勝ってます。
あと、トイレが間に合わないのかちょいちょいブツがあったりしました。
3K目は「キツイ」
建設業界の3Kにもランクインしてますね。
4K目は「坑夫にキレられる」
坑夫は早く掘って早く帰りたいのです。
でも現場監督の仕事として、切羽の状況写真を撮らなければならなかったり、切羽の変位を計測しなければならなかったりします。
切羽には掘削用の機械だったり、吹き付け機だったり、トラミキだったりが密集しているわけです。
どうしても機械をどけてもらわなければならなかったり、写真の撮影にもたついていると
「早くしろ」「まだか」「あとでやれ」と怒鳴られます。
写真を撮ろうとしているすぐ背後にもう次の大型機械が来てスタンバイしているのです。
なかなかのプレッシャーでしたね。
5K目は「拘束時間が長い」
特にトンネルに限ったことではないですね。
残業と早出が多かったので、こんなことを書いたのだと思います。
6K目は「起床時間が早い」
トンネルの現場の朝は早いです。
朝礼は6時半だったと記憶しています。
さらに週末には、坑夫が早く帰りたいがため、6時前の朝礼だったこともありました。
で、14時頃には作業が終わって帰って行くという。
これらは僕たちも早く終わらせられるので、少し有難かったりしました。
7K目は「空気が悪い」
雰囲気の話ではなく、Airの話です。
先ほどの換気の話とつながりますが、空気が悪いです。粉塵も物凄いです。
モヤッとしてて、生ぬるい空気なんですね。
真っ黒な鼻くそも大量に生産されます。もちろん防塵マスクはしていますが、、
外に出て空気を吸うと、普段吸ってる空気ってこんなに美味しいんだ!と気付かされます。
8K目は「基準点飛ばされる」
トンネルの掘削方向を出すためにトンネルの中に「ダボ」という基準点を設置しています。
トンネルの幅が狭く、側壁の足元にダボが作れなかったので
側壁にターゲットプリズムをつけて、簡易的にダボとしていたのですが
それがよく壊されているんですね。坑夫もわざと壊しているわけでは無いです。
トンネルの幅が10mもなかったので、バックホウやらダンプやらで引っ掛けちゃうんですね。
その度にポイントを復旧させる測量をしていました。
今考えると無駄でしたね。もっと良い方法がありそうな気がします。
9K目は「切羽まで距離がある。移動が面倒」
トンネルの掘削が進むと、出入り口から数百m、1キロ、2キロ先が切羽ということになります。
忘れ物したら戻るのも面倒ですし、トイレもタバコも外に出ないといけません。
切羽まで車で行けるわけではありません。切羽から200mくらいあるところで車を停めて、残りは歩くスタイルですね。あくまでも作業優先なので
切羽には坑夫の資材運搬車、バックホウが駐機してあり、吹き付け機やらドリルジャンボなんかもあります。
そこに我々の車なんかあろうものなら、キレられますし、まず危険です。
10K目は「計測面倒」
トンネルは毎日掘削が進みますが、切羽の変位状況を観測するために、作業終了後トータルステーションで計測しています。日課と呼んで良いでしょう。
坑夫の掘削中と並行しては作業できませんので、作業が完全に終わってからになります。
切羽までの距離が長ければ長くなるほど面倒になります。
移動も面倒ですし、観測点も20mとか10mに1箇所なのでどんどん観測点が増えていきます。
変位が収束するまで測り続けます。1時間くらいかかってたと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
専門用語が多かったので、かなりニッチな内容になってしまいました。
トンネル経験者には共感していただきたいですね。
業界を知らない方は、雰囲気だけでも伝われば記事にしたかいがあります。
現在建設業界は「新3K」を流行らせようとしていますが、早くそうなって欲しいものです。
では
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