建設業界を志望する方は、施工管理に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。
国が建設業の労働者不足や長時間労働の実態などを公言しているので、あまり良いイメージを持っていないのではないでしょうか。
数年前にはなりますが、私は元々は建設業界には希望を持って入社した一人です。
私はあの当時は希望を持っていました。
単に私の業界研究がお粗末だったのかもしれませんが
そのような私が入社後に感じたギャップについて5つ紹介しようと思います。
ほとんどモノを作らない
調整ばかり
現場監督、いわゆる施工管理の人は全くモノを作りません。
企業の研究を全くしなかった私は、そこでのギャップに戸惑いました。
では何をやっているかというと、「調整」ばかりです。
特に現場を何もわかっていない若手のうちは調整というよりも、「伝書鳩」のような役割になります。
上司から「ここをこうするように言ってこい」やら「段取り変わったから現場に言って来てくれ」などです。
現場で指示を伝えると作業員は「それは難しい。できないな」とか「こっちのやり方の方が手間が少なくて楽だ」などと言われるわけですね。
今度は作業員に言われたことを電話や直接事務所に戻って上司に「こういうこと言われました」と伝えるわけです。
そんで上司に「なんでやらせないんだ」と叱られるわけです。
これが現場と上司の板挟みになる若手現場監督の構図ですね。
最初は、現場のことが全くわからないので、上司の意図するところが分かりません。
もしその理由を理解しても、現場で自分の言葉で作業員に合理的に説明できないんですね。
作業員も自分達のやりたい慣れたやり方というのを持っていますので、こうしたいという要望が出るのですが
若手は現場で「上司案」が良いか「作業員案」が良いか、その採決を下せないわけです。
最初の1年間はだいぶ苦しめられました。
ある時、昼夜勤務の仕事で、昼勤で大幅な段取りの変更がありました。夜勤にも変更した段取りでやってもらわなければなりません。
その内容を夜勤の作業員にどうやってやるかを説明してこい。と言われ説明しに行ったのですが
自分の説明では夜勤の人たちが全くやる気を見せず納得せず、自分達のやり方でなければ作業しない。と言い切り
休憩所に篭ったきり21時を過ぎても外に出てこなくなってしまった。という苦い思い出です。
しかし、これは知識がついて経験して慣れてくれば
現場の作業員にうまく指示が出せるようになり、動いてもらえるようになりますので、安心してください。
自分の指示で動いてもらえるということは、作業員とのコミュニケーションが取れて、現場に多少なりとも一体感が出ます。それを感じた時に達成感を得られました。
測量ばかり
現場でやる作業といえば、測量が一番多いと思います。
現場で行う測量はモノを作る位置を決める測量だけではありません。
出来たものの測量であったり、地面を掘るときは周りの地盤などの状況を監視する必要もあります。
学生時代に測量実習はありましたが、よくわからず苦手意識を持っていました。
しかし、毎日の日課のように測量器械を触るので、苦手意識もどっかに飛んで行きました。
おかげで、一番得意なものは測量と言えるくらいになります。
学生時代に苦手でも大丈夫です。そこは心配要りません。自分もそうでしたから。
雑用ばかり
現場の若手は雑用ばかりです。
作業員に物を運ばされたり、土嚢を作らされたりします。がそれは必要なことだと思います。
これは作業員さんとのコミュニケーションの一つですし、実際に体を動かして作業の大変さ、この資材はこんなに重いんだという勉強にもなります。
それは必要なことなので別に気にしないのですが
便所の掃除、事務所周りの掃除、休憩所の掃除、掲示物の張り替え
若手といえども技術者です。こんな雑用は技術者にやらせる内容ではないですよね。
皆が使うトイレは清潔にするのは大事ですし、掃除も大切なのは分かります。
配属されている人員を見れば、「雑用」をやるのは自分しかいないなとも思うのですが
20代若手が毎日22時23時まで残業している中、毎日19時に帰るような40歳のおっさんに
トイレは週一回掃除しろやら、事務所の階段が砂だらけだ掃除しろなんて言われたくないんですよね。
たまには現場の車も綺麗にしておけ。などと言われた時は
平日の勤務時間中にやるのは時間が非常に勿体無いので、休みの日にガソリンスタンドで洗車しました。もちろん自腹です。
下請けに聞いてこい
この言葉で自分の立場がよく分からなくなる人も多いのではないでしょうか。
「(作業のやり方を)下請け(協力会社)に聞いてこい」ということなんですが
右も左もわからない状態でそのようなことを言われると、作業を指示するのは元請じゃないの?なんて思ったり混乱します。
このように言われるときは、
- もうすでにやり方が決まっている場合
- 協力会社に作業方法を聞く場合(言葉通り)
の2つのパターンが多いです。
すでにやり方が決まっている場合
これは上司と協力会社の間で話し合いが済んでいる場合で
施工の詳しい方法は協力会社の方が知っているので、教えてもらってきなさい。という意味ですね。
これは素直に聞きに行って、学びましょう。
元請というのは広く浅い知識、協力会社と打ち合わせできるくらいの知識が求められるので、作業について本当に詳しい内容、細かいやり方というのは協力会社の方が詳しいです。
上司もとしても忙しいので対応する時間も無いし、それよりもっと詳しい人(協力業者)がいるから、そっちで聞いてきてね。という意味です。
協力会社に作業方法を聞く場合
これは言葉通り、作業を協力会社に聞く場合です。
純粋に協力会社に作業のやり方を聞くだけです。
しかし、ここで自分の立場というか、元請の立場がわからなくなるポイントかもしれません。
作業のやり方って自分達が決めて指示する立場では無いのかなと。。
それは勘違いで、元請は作業方法を承認する立場にあります。
元請というのは大きく見た時の施工、大まかな施工方法というのを決めたら、
その中での作業は協力会社に任せてしまいます。しかし任せっきりではなく、作業方法について作業手順書というものを提出してもらい、元請が承認します。
その作業方法に明らかな危険や、大きな手戻りが発生しそうな場合、その作業を見直させたり、そもそもその作業を許可しない場合もあります。
協力会社に作業の仕方についてルールに則った上で自由を与えますが、その協力会社が決めた作業をやって良いかダメかを判断するのは元請になります。
そう考えると、「下請けに聞いてこい」はもっと言い換えることができますね。
「作業に関して協力会社の考えを聞いて、是非を判断しろ」と言っているんです。
これは結構小規模な作業にありがちです。お前が判断してみろと言っています。要は試されているんですね。
その協力会社の言う作業で本当に仕事ができるのか、安全なのかを考えてみなさい。と言っています。
作業中は見てるだけ
若手の頃は8時から17時まで、昼休憩以外はずっと現場にいました。
現場のルールで必ず職員を作業している現場に配置していなければならなかったので、ずっと外にいました。
そのかわり内業や雑用が昼間に全くできないので、全て残業でこなしていました。全く非効率ですよね。
若手のうちは、自分は見てるだけでも作業は進みますし、自分はなんのためにいるのかよくわからなくなります。
さらに専門的な工事だと、職員の出番ってほぼ無いんですよね。
専門的な工事に限らず、作業がある程度流れに乗ると、現場監督はやることがなくなります。先輩とかは次の作業計画とかで忙しそうでしたが、自分は作業を見てろと言うことで、ずっと見てました。
新人のうちはこう言う時間が多分出てくると思います。意外とやることないな。と言う時間が
そのうち、作業の段取りやら計画やらで忙しくなるので覚悟しておいてください。
自分が暇だなと思った時、誰かがその代わりに段取りをしてくれている。ということを忘れてはいけません。
クセが強い人が多い
これは元請の人の話です。
話してて気持ち良い人があまりいないイメージでしたね。
すぐキレたり、人前で罵倒したり、聞いてて気持ち良くないですね。
トンネルや地下工事だと陽の光が当たらないので、どんどん捻くれていくのかなと自分なりに納得していました。コミュニケーションもあまり上手くない人が多い印象でした。
現場変わって、若い人と話すとそんな酷い人は全くおらず安心しました。
40〜50の独身おじさんは特に変わった人が多かったです。そんな人と一緒にならないよう、現場ガチャで当たりを引けるように祈ってください。
そこそこの企業なのにサビ残がある
これは私が夢を見過ぎていたのかもしれませんが、
就職説明会でそんなこと言わないですもんね。質問しても上手く誤魔化されます
最初は綺麗事を並べて、社員を集めていますね。それで、いざ入社するとリアルな実態が見えてきます。
朝は6時45分くらいに事務所に着いて、帰りは22時23時酷い時は0時を超えていました。
それでも社内では残業時間100時間以上は申請してはいけない。みたいな風潮がありました。
申請する残業時間は100時間以内、もっといえば80時間程度にするため、毎日19時に帰ったことにして、勤務報告をします。
最近は残業を減らす風潮がありますから、休日も増えてだいぶ改善されていますが
現場や会社によってはまだ、そのような雰囲気があるところはあるので気をつけてください。
まとめ
特に若手のうちは大変だと思います。
自分がいなくても現場が進んでいるな。と感じやる気がなくなってしまうことが多いです。
やはり最初の現場というものは大事で、そこでやめてしまう人が大勢いるのも事実です。
自分も今考えても、よくあんな現場耐えたなと思うことが多々ありますし、その時にはらわたが煮えくり返るような思いは覚えています。
でも今思うと、あの時辞めておけばよかったとちょっと後悔します。
少しでも早く別の道に進んでいれば、と思うこともあります
若い時の1年というのは非常に貴重です。その1年は2度と戻ってきません。
皆さんのギャップを小さくするために、リアルな実情を記事にしてみました。
あまり夢を見ずに、納得して建設業界に入ってきてもらいたいものです。
では。
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