現場

移動式クレーンの選定方法を解説します。どの大きさのクレーンを選べば良いか。

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新入社員の人で、初めてクレーンの手配を任されたり、

普段は土工事を担当していて、吊り作業は全部クレーン機能付きバックホウでやってしまっていたけど、急に移動式クレーンを手配しなければならなくなった方、

初めてのことで戸惑うことはあると思います。

今回の記事では、クレーンの選定方法について紹介していこうと思います。

適切なクレーンを選定しないと事故につながったり、作業ができなくなり、工程が遅れたり費用が余計にかかってしまったりします。

特に、クレーンの転倒が発生すると大規模な公衆災害につながります。さらにどんな小さなクレーンでも倒してしまうと労働基準監督署への報告が必要になります。

そのためしっかり計画して、クレーンを手配することが大切です。

こちらが準備する情報として、

クレーン選定の際に準備する情報
  • 一番重い吊荷の重量
  • どこからどこに吊荷を移動させるか(作業半径)

この2つの情報を用意しておけば大丈夫です。

クレーンの場所が決まっている場合は、すんなりクレーンの大きさも決められる場合が多いです。

それでは、クレーンの選定方法についてみていきましょう。

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一番重い吊荷の重量を確認

現場では吊りたいものって1つだけではないと思います。あれこれあると思いますが

しかし、クレーンを選定する際は一番重量の重い物だけに注目してください。

例として、今回は「5t」としましょう。

重量などの情報は機械などであれば、カタログに記載がある場合が多いです。「本体質量」や「機械重量」などど書かれています。それをカタログから見つけてください。

記載のない場合やカタログが無いという場合は、検索してメーカーに電話やメールで確認するなどしてください。

H型鋼などの鋼材や、コンクリート二次製品などの単位重量が分かるものであれば、自分でサッと計算できるとカッコいいですね。

クレーンのだいたいの位置を決める

現場の機械配置などにより、クレーンの位置が変わる場合があります。

基本的には、旋回角度は小さく作業半径も小さくが基本です。

搬入車両とクレーンが干渉しないか、アウトリガーの設置地盤は大丈夫か、架空線は無いかなど確認します。

アウトリガーは基本的に最大張り出しとしますので、張り出すスペースも確保できるかも確認します。

どこからどこに吊荷を移動させたいのかを確認

先ほど決めたクレーンの旋回の中心から、吊荷を取る方と吊荷を下ろす方のそれぞれの距離を確認してください。

そのいずれかの大きい数値が必要な作業半径となります。

今回は「10m」とします。

クレーンの性能表を確認する

この時最初に確認するクレーンの性能表は決めうちです。

だいたいこんなもんだろうと、クレーンの性能表を見てみます。

基準を満たさなければ、さらに一回り大きな小さなクレーンの性能表を確認します。

今回はタダノさんのクレーンでみてみます。

この性能表は「crevo 160 G4」という機種で、いわゆる16tラフタークレーンと呼ばれる物です。

引用 https://www.tadano.co.jp/products/upload/docs/GR-160N-4-101_102_20190624.pdf

作業半径10mの赤い枠を確認すると、吊ることができる荷重は3.45tなので

5tは吊れないことになります。

そこでもうひと回り大きな「crevo 250 G4」という俗に言う25tラフタークレーンの性能表を見てみます。

引用 https://www.tadano.co.jp/products/upload/docs/GR-250N-4-101_102_20190621.pdf

こちらは作業半径10mで7.6tくらいは揚重できるので、5t程度の吊荷は吊れますね。

照査

先ほどまでの手順で、使えるクレーンのだいたいの目星はつけましたね。

今回は吊荷を5tとして設定しました。

しかし、クレーンにはフックが2種類付いており、ワイヤーやシャックルなどの吊り具の重さもクレーンの負担になります。

なので、実際クレーンが負担する重量というのは

5t + 親フック 0.22t + 子フック0.06t + 吊り具 0.05t = 5.33t

となります。

では、5.33t吊ることが可能なクレーンを選んで、ギリギリを攻めて良いか言われると、

ちょっと違いますよね。

何事にも余裕というものを見ておかなければなりません

クレーンには3色灯と呼ばれる赤・黄・緑の回転灯があります。

会社によってルールは違うと思いますが、

回転灯「緑」の範囲内で作業をしなさいと言うところが多いはずです。

回転灯の「緑」というのは、そのクレーンの能力の90%以下であるという目印ですから

先ほどの、25tラフターの作業半径10mで見てみると7.6tと書いてありますので、

7.6t × 0.9 = 6.84t

までは「緑」回転灯が点いているということになります。

よって、クレーンの負担が5.33tで

クレーンの回転灯が安全な緑の範囲で作業できる能力が6.84tとなるので

25tラフタークレーンを使用すれば、安全に作業できるということにないります。

まとめ

今回はクレーンの選定方法について解説しました。

今回は平面だけで考えましたが、クレーンの設置場所と吊荷を移動させたい場所では高低差が発生する場合も多々あります。

こう言う場合は、別に揚程図というものを参照する必要が出てきます。

揚程図の例 https://www.tadano.co.jp/products/upload/docs/GR-250N-4-101_102_20190621.pdf

また、本当は25tラフタークレーンでも作業できるのに

最初に50tラフタークレーンなどの性能表などを見てしまい、

50tラフタークレーンで仕事できるからOK。と判断した場合

作業はできますが、クレーンが大きい分余計なお金も発生しますので

性能表を見て一発でOKでも、さらにクレーンを小さくできないかなどの確認も怠らないようにしてください。

では

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